みんなの気持ちを上げる声をかけるのが上手な人、いいですよねぇ

一緒にラウンドしているメンバーの気持ちの上げ方、色々ありますよね。

「ナイスショット」「グッドショット」は定番ですが、当然ミスショットもありますし、ナイスショットともミスショットとも判断がつかず、なんとも言い難い時だってあります。
それまで調子良く「ナイスショット!」と声をかけていたのに、そうでもない時に急に静かにしてしまうのもなんだか申し訳ないので、僕はできる限りの言葉を見つけて声をかけるようにはしています。
「いいところまで出て来てますよ!」とか、「あそこなら前方は空いています」「惜しかったですね」とかですかね。
そんな時には声をかけて欲しくない人や、声をかけようがないほど残念な結果の場合もあるので、そこは様子を伺いながら。ここの匙加減は本当に難しいですよね。

ミスショットの場合も難しいですが、ナイスショットが続いている場合も悩み時です。
適当にただ声だけ出しているように思われても嫌ですし、僕から見て良いショットでも本人にとってナイスショットかどうかはわかりません。
「あんなのナイスショットじゃない!」なんて怒られてもね・・・。

だから弾道を見た感想をコメントしたり、「おおっ!」みたいな感嘆の声を出してみたり、「う〜ん・・・」と一緒に悔しがったりと・・・結構考えているんですよね。
ただ、全く思ってもいないことを言ってまで、無理に声をかけることはしていません。
どちらにせよ、【鬱陶しくない程度に】というところが重要です。気分を盛り上げてあげたいと声を出しても「あいつウザい」になったら本末転倒ですからね。

キャディーは簡単に【気持ちを持ち上げる声】をかけるわけにはいきません

これがキャディーとなると、きっとプレーヤーよりさらに難しいのだと思います。

メンバー全員に気を配らなくてはならないうえに、OBロストボールにならないかどうかの判断が難しい時には、元気づけたくても適当に「大丈夫だと思いますよ」なんて言うわけにいかない。どんなに空気が悪くなろうと、暫定球を打たせなくてはいけないですし、ロストボールなんて競技の時だったら戻って打たせなくてはならないですからね。気持ちを引き上げるつもりで下手なことを言って期待させ過ぎてしまわないようにと、常に考えているのだと思います。

しかも、キャディーにはプロゴルファーを目指している研修生含め、担当している組のプレーヤーよりも断然上手い人たちがゴロゴロいます。ゴルフをやらないキャディーでも、1ヶ月のうちに何度かは本物のプロや、プロみたいに上手い人に付くことがあるでしょう。
そんな彼らが、僕らレベルのゴルファーのラウンドに1日同伴して、心からの「ナイスショット」いったい何発あるのでしょうか・・・?

いろいろ考え過ぎた結果「やり過ぎ認定」されることになってしまったキャディー君の話

ある日のラウンド、若い男の子のキャディーが僕らの組に付きました。

レッスンプロを目指しているらしく、きっと僕らより相当ゴルフレベルは高いでしょう。
とても仕事熱心な好青年で、一生懸命に僕らとコミュニケーションを取ろうと頑張ってくれているのが伝わります。伝わり過ぎるくらいです。
「ナイスショット!!の声もひときわ大きく、
(コイツ最初からこんなに飛ばして大丈夫か?)と少し心配になるほど。心配なほどに飛ばしているのはボールじゃありません。彼のテンションです。

「ナイスショット!!いいですねぇ〜!」
「ナイスショット!!打ち出しが速すぎて最初見えなかったですよ!」

飛び過ぎて球の落ちどころが見えないんで困っちゃいますぅ!」

褒め方のバリエーションもなかなか豊富。ストレス溜まってるだろうなぁ。
(ちょっと持ち上げ過ぎ感あるけどウザいわけではないし、まぁいいか)というギリギリを攻めてくる、なかなかの太鼓持ち上級者。ただ、仕事は手際良くこなしていますし、みんなも気分は良さそうです。

ラウンドが中盤に差し掛かったところです。
このホールのオナーは上手ではあるけど、そこまでの飛距離は出ない人。いつも通りの安定したスイングで、ドライバーショットを真っ直ぐに打ち出しました。

「えぐっ」

?!?!
えぐっ??
ああ、「エグい」か。 え?えぐっ??・・・今の球のどこがエグかったんだろう・・・?ボールは200ヤードを少し越えたところで止まっています。

(はは〜ん、これは「ナイスショット」のバリエーションを考え過ぎて、用意してた言葉の出しどころを間違えたパターンだな?

この「えぐっ」は声のトーンが絶妙で、大声で叫ぶわけではなく、打った本人と彼の近くにいる人だけがちょうど聴こえる【意図せず思わず心の声が漏れちゃった演出】のパターン。先輩に連れていかれた飲み会で太鼓持ちの後輩「やばい・・・楽しい・・・!!」って、いかにも独り言かのように呟くあの演出です。
(・・・・・・・・・・・・うぜえ
決して性格が良くない僕は、ここでとうとう彼にやり過ぎ認定。キミはなんとか皆を盛り立てようと頑張っているのに・・・ごめん、申し訳ない。
(彼はとても頑張っている人だと思う。だけど、これはいつかきっと誰かに怒られるパターンだから、指摘してやり過ぎを教えてあげたい。でも・・・・・面白い。

「えぐっ」が今の彼のトレンドなのか、その後も彼は「えっぐ・・・」「エグいっ!」と、これでもかというくらいバリエーションを変えて攻めてきます。もう、こうなると(次は何を出してくれるんだろう)と笑いを堪えながら、期待でいっぱい。太鼓持たれてる感は半端なかったですが、とても楽しいラウンドになりました。

結局、「えぐっ」のあまりにも斬新なインパクトに、今は「お世辞だとバレてしまうから気をつけた方がいいよ」との指摘はせず、彼をもう少し泳がせてまだまだ色んなバリエーションを引き出してからにしようと決めた性格の悪い僕。
ただきっと、彼と僕は気持ちの面で共通しているところが多いと思うのです。
彼も多分、一緒にいる人に気持ち良くラウンドしてもらって、誰からも愛されるゴルファーになりたいのでしょう。わかる、うん、僕にはよくわかるよ。
だけど、キミにはもう少し人生経験と修行が必要だね❤️一回、誰かに「無理してそんなお世辞を言わんでもいいわ!!」って怒られておいで。

お世辞を言う必要はない。
無理して声をかける必要もない。
それが相手に伝わってしまったら、せっかく気分を上げてもらいたいと頑張ったことが逆効果です。
ちょうど良いラインを早く見つけて、わざとらしくない声掛けを身に付けましょう。

ちなみに、面白過ぎて未だに泳がされている彼の最新ワードは、ナイスショットの弾道をうっとりとした目で眺めながら呟く
「きれい・・・・・・」 です。

これがまた絶妙にウザい