コースに咲く花
ゴルフ場は大抵、大自然の中でその地形を活かして設計されています。そしてコースの戦略性とは別に、その景観も非常に重要視されて、ラウンドをしながら景色も楽しめるように考えて作られています。
都心部に作られ、住宅地からほど近いゴルフ場でも、日本の花、桜は大抵のゴルフ場に、その他ツツジやサツキ、コブシ、モクレンなど、季節ごとの花が土壌の性質やコースのテーマに合わせて植えられています。
あなたは、よく通うコースのどこに何の花が咲くのかを覚えていますか?
お酒の席や商談の合間にゴルフの話題が出ることは少なくないですが、その時に(この人は知的だなあ)と感じることがあります。それは、コースで咲いている花について語っている人です。
「〇〇カンツリーですか、あそこの4番ショートホールで観る桜が大好きでね」
「この時期は15番のティーグランドから見える紅葉が見事ですよね」
自分のゴルフの腕のことを話すでもない、道具の自慢をするでもない、そこに咲いている花や自然の景色について語る。
ああ、なんて奥行きのある人なのでしょう…そういう人は絶対、ラウンド中も下ネタなんて話題にはしていません。ないと思います。多分。
花や植物のことを話せるということ
コースに咲く花を語れるということは、そのコースのことを熟知している証でもあります。「ああ、あのコースは何度も行ってるから見えないバンカーの位置まで全部わかる」なんて得意気に語るよりも何倍もスマートに、そのコースに通っていることを説明できるのです。つまり、品よく嫌味なくマウントを取ることができています。
ラウンド中はどうでしょう。
ティーショットがなかなか打てずに待たされている時など、イライラしながら前の組がゆっくりと進んでいるのを見ている人を落ち着かせてあげるかのように「ああ、桜の蕾がだいぶ色濃くなってきていますね。あと数日かな」とか、「こんなところにオオイヌノフグリが。かわいいなあ。」なんて言いながら、観察したり、時には写真を撮ったり・・・(この人はとても心に余裕があるのだろうな)と感じます。つまりここでもゆとりマウントです。
また、花や植物について名前がわかったり、話ができるというのは教養の深みも想像できます。仮にど田舎で生まれ育って、その草花を野山で採取して食っていたから当然知っていただけだったとしてもです。ゆっくりと落ち着いた声で、そこに咲く花や青空に流れる雲、遠くに見えている山などについてコメントしてみましょう。
また、そういう人が【スパーンッ!!】と凄いティーショットを打ったりするもんですから何というかもう、ギャップに胸がキュンキュン。そんなの、好きになっちゃうじゃないですか。
心になくとも、まずはとにかく言ってみることから
あなたが今まで一度も花見をしたことがなかろうが、紅葉を観に行く文化が全く理解できなかろうが、それは関係ありません。適当に言ってみればいいのです「ああ、こんなところにスズランが咲くんだ」「ツツジが満開ですねえ」
一度のラウンドに3回まででいいですよ。毎ホールなんてやってたらわざとらしいので。そしてゴルフじゃなくて植物鑑賞のためにゴルフ場へ来ていると思われてはいけません。スマートに、ここぞの時に出しましょう。
植物の種類を知らなくても大丈夫。素直に「この花、綺麗ですね。なんていう花なんですかね?」って、周りの大人に聞いてあげたらいいんです。知ったかぶりして間違った名前を言うより、よっぽど可愛いですから。
そんなところに目を配って、最初は頑張ってコメントしてるうちに、それがあなたの本当のスタイルになってきます。そして、コースにいない時でも自然を愛でることができるように、花が好きになるでしょう。紅葉を観に行くようになるかは別として。
ラウンド中に自然を愛でることができる人は、人としての器が大きく、上品で美しく見えます。そのうちそれが本当のあなたになるように、意識して続けてください。
まずは無理矢理にでも言ってみることです。
「この花、とっても綺麗だなあ」って。