そういう仲になりたいわけじゃないけれど

ゴルフ場に到着して、一番はじめに顔を向け合って会話をする時間ができる場所がフロントです。

大抵の場合、彼女たち(彼ら)の方から声をかけてくれます。「おはようございます」か、「いらっしゃいませ」ですかね?もちろんあなたはその挨拶に応えたり、なんならこちらから先に声をかけちゃうわけですが、よく思い出してみてください。

あなたはその時相手の目を見て挨拶していますか?

運転している時に会う玄関のスタッフさんたちと違って、フロントはお互い正対して挨拶を交わせる場所です。この時の、ほんの少しの気遣いが、あなたへの印象を良くしてくれることになるのです。「目を見て挨拶する、目を見て話す」これってすごく当然のこと、当たり前にできていることのように思えますよね。ですが、ちょっと意識して一日過ごしてみてください。意外と、相手の目を見ずに会話をしていることって多いのです。

朝のフロントは結構忙しい

もう一つ、気を付けたいことが。

受付のスタッフがあなたの好みのタイプだったり、とても親しみを持てるタイプだったりする時もあるでしょう。特にそこのポジションには、なぜかそういう人を配置しがちです。いや、理由はわかりますけど。

そんな人が優しく話しかけてくれるので、あなたもついついゆっくりお話ししたくなってしまいますよね。ただ、その時こそが要注意です。朝のフロント業務は、次から次へと新しいお客さんが入ってくるので、一人ひとりにそこまで長く時間をかけてはいられないのです。

まあ、だけど・・・何かプライベートっぽい質問でもされた日には、一から十まですべてを説明したいですよね。だってあなたに興味を持って聞いてくれたんだもの。

いいや、そこで調子に乗ってはダメなんですよ。

( 「おはようございます」だけじゃ、なんだか事務的だな ) という気遣いで、あなたに適当な会話をプラスしてくれている場合だっていくらでもあるのです。その場合、もちろんそこに個人的興味は一切介在しません

常に、あなたの後ろに順番待ちで控えている人の有無を確認しつつ、空気を読みながら適切な返事をすることを意識しましょう。言いかけたあなたの話が全部終わっていなくても構いません。後ろの人が来たら、「詰まってきたから続きはまたね」と終わっておけば、改めて次回のチャンスができるわけですから。もちろんその時も周りを気にしながらで。

ただ、相手に余裕がありそうなチャンスを見つけてあなたが話の続きを始めた時、あまり興味がなさそうだったり、そもそも何もかも忘れているようだったとしても、相手を詰めてはいけません。そういうもんだと学びましょう。

まあ、朝でなくともフロントには長居をしないこと、ということにしておけば間違いがないです。行くたびに、何かしら用事を作ってダラダラとフロントのカウンターから離れなかったり、余計なことを話しかけているくらいだったら、挨拶とお礼だけを端的に伝えて立ち去り、「無人のカウンター前」にして彼女たちに気を抜かせてあげるのが一番ありがたがられます。クレームを最初に聞くことになるのもフロントの皆さんの場合が多いので、来場時と帰り以外にカウンターまで人が来るのは身構えますし、そもそも受付会計以外にも、やることが山のようにあるのですから。

外見の変化へのコメントは賭け

ある日、難しい局面に出くわしました。

僕がメンバーになっているコースで、いつものフロントスタッフがそれまで長かった髪をバッサリ切っていたのです。

その女性は、業務以外の話をほとんどしない人で、笑顔も少なく、僕は(可愛らしい子なのに少しもったいないな)と感じていました。そんな風だったので、それまで彼女とは受付と支払いに必要な最低限のコミュニケーションしかとれていなかったのです。その彼女が、どんな鈍感野郎でもわかるほどの変貌をしている・・・触れるべきか、触れざるべきか・・・。

挨拶をしながら一瞬だけ深く悩んだ僕は、受付の一通りのやり取りが終わってロッカーキーを受け取り、立ち去る直前に一言だけ「髪、似合ってますね」と声をかけました。

彼女が恥ずかしそうに、少し微笑んでくれたのがとても印象的でした。

まずはまっすぐ目を見て話すことから

何が正解になるかはわかりません。外見のことなので、今やセクハラだと受け止められてしまうことも多いでしょう。ただ、ここで大切だったのは(この状況は難しい)と感じられたことだと思っています。思ったことをそのまま口に出してしまう、タイミングや前後の流れを考えないで言ってしまう、だから、良かれと思って褒めたつもりが、逆に相手からしたら不快だったり、迷惑だったりしてしまうのです。一旦、一瞬でも良いので言葉を飲み込み、それを言うべきか、今言うべきか、言うなら何と言うべきかを深く考えましょう。言った後でも、それで良かったのかを考える癖をつけましょう。

大きく変わった相手の見た目に、敢えて気付いていないことにして、そのことに一切触れないのも一手ではあります。ですが、あなたは愛されるゴルファー。そこでスターになる人です。

チャレンジして、彼女の気分を良くしてあげましょう。

人気者の僕は、ある日フロントの女性たちとゆっくり会話できる機会に恵まれました。

「〇〇さんが素敵だと思うのは、目を見て話してくれるからです」

やっぱりそうなんですよ。