「ファー!!!!!」 本当は?
「ファー!!!!!」
打球が人の方向に飛んで行ったり、見えない場所に向かって打ってしまった時などに注意を促す叫び声ですね。
英語では「fore」、つまり”前方”という意味。なので、正しくは「フォア」です。
本来「フォアー!!!」と叫ぶべきところを「ファー!!!」とやっているので、これって実はとても恥ずべきこと。ところがあなた、明日から一人で「フォアー!!!」をやってみてご覧なさい。必ずバカにされます。日本では。
間違った言葉や使い方がそのまま浸透してしまった故に、いつの間にかそれが正解として使われる言葉になってしまった・・・日本語にもよくある話です。正しい日本語を使いましょう。
さあ、モテゴルファーのあなたこそは、明日から正しい叫び 「フォアー!」 を浸透させるために!!・・・なんてことはもちろん言いません。あなたを孤立させるためのブログではありません。
哀れなタマゴ産みの話
話変わって、ある日のゴルフ。初めて一緒にラウンドする方々との、あるホールでのティーショット。
「ファー!!!!」
キャディーさんの叫びが響き渡りました。これはOB方向に打ってしまったのでしょう。ご年配のMさんです。
全員がティーショットを打ち終え、続いてOB方向に打ってしまったMさんが暫定球を打ちました。そしたらMさん、打ったばかりの暫定球がまだ転がり続けているというのに、1球目が飛んでいったOB方向に向かって一目散に走り出したのです。
暫定球・・・打った球がOBとなったり、紛失したりした可能性がある場合、打ち直しに戻る時間を省くために、あらかじめ次のボールを打っておくこと。このケースでは、プレイヤーが他の競技者に暫定球を打つ旨を表明しなくてはならない。
「あの人には気をつけた方がいいよ。自分のティーショットがOB方向に飛んで行ったら、とにかく誰よりも早くそこへ走って行くんだ・・・。」
もう遥か前方を走っているMさんの背中を見つめながら、他のメンバーが語り始めました。
Mさん、自分が打ったボールがOBかどうか怪しい時は、いつも真っ先にそこへ走って行ってボールを探すんだそうです。そして、大抵の場合は「ありましたぁー!!(セーフ)」と叫んで皆の方を振り返るのだと・・・。誰もが絶対にOBだったように見えた場合でも、Mさんが確認に行った時はほとんどセーフゾーンに球があったと報告されるので、間違いなく彼はタマゴを産んでいると・・・。
タマゴを産む・・・OBやロストボールの場合でも、他の人が見ていないところでポケットからセーフゾーンに自分の球を落として涼しい顔をしていること。万一、本当に打った球を他の人が別の場所で見つけた場合は、人生が台無しになるかもしれない大問題へと発展する。かもしれない。
そんな噂話、僕は自分で見ていないから信じない・・・と考えていた矢先、遥か先から「ここにありましたぁあー!!」とMさんの声が。
ああMさん、あなたの球はそんなところまでは飛んでいなかった・・・残念です。。。本当に・・・。。。
疑うのも、疑われるのも悲しいこと。それでも人は疑う生き物。
Mさんのように、本当にやっちまっている場合はもう救いようがないのですが、本来こんなことを疑われることは許し難いです。屈辱です。疑われるかどうかは、あなたの普段の行いを他の人がどのように見ているかにもよりますが。
ただ、怖いことにゴルフは誰かのことを陥れることも簡単。口にするのも恐ろしいですが、(〇〇がこの前、タマゴを産んでいるのを見てしまった)って他の人に話すだけで良いのですから。(そんな可能性はいくらでもあるので、人の不正の話は自分で見るまで僕は信じないことにしています。)
そんな疑いを絶対にかけられない対処法があります。
それは「自分のボールは他の人に探しに行ってもらう」もしくは「誰かと一緒に探しに行く」です。
その代わり、他の人のボールはあなたが積極的に探しに行ってあげなくてはいけません。
もちろん、そうもできない場合も多いでしょう。みんな自分のことで精一杯ですから。その時は、せめて他の人から見えるよう、余裕のある動きでボール探しをしたいものです。
言うまでもないですが、あなたがどのような場合にどのような不正で、誰かに如何なる噂を立てられようとも、「彼は絶対にそんなことをしない。」と周りに言わせるような行動、生き方。これが一番大切です。「愛される人のゴルフ」を徹底して続けていれば、必ずそんな人になれることを約束します。
ボールが見つかるよりも大切なこと
もう一つ。
「ボール探しは3分間」のルールがあります。
大切な試合や大会で3分間の制限時間をいっぱいに使うのは当然です。ルールは最大限に活用しなくては。
ボール探しは3分まで・・・プレーヤーやキャディーがボールを探し始めてから3分以内に見つけられないとロストボールになる。ボールは時間内に見つかったが、誰の物かわからない場合には確認のため、さらに1分間が与えられる。
ただ、プライベートや仕事のゴルフで往生際悪く、いつまでもボールを探し続けている人のみっともないこと。。。ぐるっと見回して見当たらなかったら、気持ちを早めに切り替えてロストボールを宣言した方が、いつまでも探し続けた結果ようやく見つけて、ペナルティなしでホールを上がるよりもよっぽど人間的評価が上がります。
そういえば、雑草が生い茂った藪の中や林の中まで入っていって、他人が諦めたロストボールを幾つも収穫して戻ってくる人がいます。
お気持ちわかります。
こだわる人のゴルフボールは新品だと1球500円以上はしますし、ロストボールでも高級クラスならお店で買えば200〜300円です。OBゾーンは宝の山。自分の球以外にも使えそうなボールが目の前に転がっていたら、そりゃ拾っていくのが人間ってもんです。物は大切にしなくちゃ。OBが出やすく、大勢の人が打ち込んでいる場所なんて入っていったが最後、拾ったらまた1メートル先に、そこで拾ったらまた1メートル先に…なんて、気がつくと奥へ奥へのエンドレス球拾いに耽ってしまっていることも。
だけど気をつけてください。そんなところも全部、周りの人から採点されていますよ。
散々待たされた挙句、やっと戻ってきて遅くなったことを謝るのかと思ったら「はい!大収穫!」なんて、笑顔で両手いっぱいのボールを見せられたら、なんとコメントして良いやら…ひっつきむしだらけのズボンがあなたを更に小さく見せます。
ロストボールを拾うなら、気づかれないよう一瞬で。ポケットの膨らみが目立たない2、3個までに抑えましょう。モテなくても大丈夫なあなたは、割り切ってトートバッグ持参でもして拾ってきてください。メルカリで売れます。
「潔さ」。 これは、人の器の物差しのひとつです。
ただし、投げやりなゴルフになっているように見える言動には気をつけてください。(この人、ボールがあってもなくても、もうどうでも良くなってるな・・・)そんな風には思われないように。
最悪だと感じるのは、ロストボールをキャディーのせいにするゴルファー。「なんで俺のボールを見てなかったんだ!!!」と言って怒っている人です。特殊能力のある人がキャディーになれるのではありません。あなたと一緒にラウンドしている人たちが見えなかったボールは、キャディーだって見えないのは当たり前でしょう。そもそも、フェアウェイに打たなかった自分自身が悪いのです。
「ボール、見つけられなくてすみませんでした。」謝ってくるキャディーさんも多くいます。
「あなたは悪くない、そんなところに打った私が悪いです。」と微笑みながら言いましょう。
ほら、カッコいい。