ゴルフボールを捨てることって、あるんですか?
ゴルフボール、あなたは新品を使う派でしょうか?それともロストボールを買う派でしょうか?まさかの拾ったボール愛用派でゴルフ場へ行くたびに手持ちボールを増やして帰ってくる人ですか?
まあ、どんなボールを使おうとも、意地汚くロストボールを拾い漁っている現場さえ見られなければ、あなたのボールが綺麗か古そうかは特に気にならないものです。
では、あなたはどんなタイミングでラウンドで使ったボールを交換していますか?
カート道や木で擦れたりしてボールがどんなにキズがついていても、OBゾーンに打ち込んでしまったり、ロストして紛失するまでは使い続ける人もいるでしょう。また、キズがついたり落ちない汚れが付いたら、アプローチやパットなどの練習ボール箱行きにしている人もいるでしょう。
僕のホームコースではラウンドを終えた後のカート降り場に、使わなくなったボールを置いていく「不要ボール入れ」が設置してあります。別名【ボールの墓場】と呼ばれるその箱の中には、どこの池の中から拾ってきたのかと思えるような汚い球や、アスファルトの裂け目にそのまま打ち込んだんじゃないかと思えるほどささくれ立った球、練習場から盗ってきたようなカッスカスの球なども含めて、適度にキズやヨゴレがあってもまだまだ使えそうなボールが常に50球近く入っています。
んなバカな!?と思うのですが、中には汚れすら付いていない、僕が試合球で使っているボールが新品同様の状態で捨てられていることもあって、そんな球を発見するたび(あざっす!)とコッソリいただいています。
アマチュアなのに1ラウンドごとにボールを廃棄している人もいるんだそうです。
そんなの、どんな大金持ちなんでしょう・・・。
大反省したできごと
僕は、気合いが入った競技の時にはメーカーもシリーズも決まったニューボールで挑み、友人とのプライベートや仕事でラウンドする時には、何度も使用した球やロストボールや、【ボールの墓場】から救い出してきた美球を使うという自分ルールでした。
験(げん)を担いでニューボール、というわけです。
ただ、その考えをひっくり返された出来事があったのです・・・。
ある日のプライベートラウンド。
競技で新品をおろして以来、珍しく何ラウンドか続けてOBも出ず、結構な擦りキズと落ちない汚れが残っているボールを使っていた時のことです。
グリーン上でキャディーさんが、マークしたボールを僕から受け取るたびに、汚れを落とそうと一生懸命に頑張って拭いてくれているのがわかって、ちょっと申し訳ない気持ちになっていました。
「落ちないから適当で大丈夫ですよ!」と伝えてはいたのですが、どのホールでも(今回こそピカピカに)とばかりに、手を抜かずに拭いてくれています。
5番ホールくらいまで来たところでしょうか・・・僕がドライバーで打ったそのボールは酷い引っ掛け球で、ラフの深い、OB杭に近いところにキャリーしました。
「暫定球を打っておいてくださいね。」
そこまで良い調子で来ていた僕は叫びたいほど悔しいのをグッと堪えて、苦笑いで誤魔化してから暫定球を美しく打ちました。
フェアウェイのど真ん中です。2回目はちゃんと打てるのにぃ・・・。
当然ながら、1球目を探しに向かいます。OB杭は越えてはいない気がしていたのですが相当深いラフで、探すのは難儀でした。暑い中、キャディーさんもボール探しを手伝ってくれています。
もう結構なおばあちゃんキャディーだったので、なんだかそれも申し訳なくって。
さらに、暫定球は最高のライにあるのだから、という卑怯者の考えも手伝って、1分ほど適当に辺りを見回してから僕は言いました。
「キズだらけで、もう捨てなくっちゃと思っていたボールだったからちょうど良かったです。暫定球でいきましょう。」
すると、そのキャディーさんが言ったのです。
「そんなこと言っちゃボールが可哀想。あんなボロボロになっても頑張って一緒にいてくれたんだから。おかげでスコアも悪くなかったでしょう。もっと真剣に探しなさい。」
ああ。。。本当にその通りだ・・・
僕は大反省をしました。
早く見切りを付けるだけがカッコ良いと勘違いして、なんというカッコ悪いことを言っていたのだろう!
なんてダサい考え方をしていたのだろう!
そのボールに愛着がなかった訳でもないのですが、既にだいぶ痛んでいたのと、潔く諦めることも大切だと思って、探すことを適当にやっていたのです。
それなのにキャディーさんは、汚れだかキズなんだかもわからない、拭いても拭いても綺麗にならないボールのことを、持ち主の僕よりも大切に考えてくれていたのです。
「ほら!あった!」
まもなく彼女が発見してくれました。さすがベテラン、お見事・・・こんな大変なラフの中から見つけ出してくれるだなんて。
「せっかく出てきてくれたんだから、まだまだ大事にしてあげてね。」
そう言ってカートへと戻っていくキャディーさんの後ろ姿を見ながら、これからは僕も彼女のような素敵な考え方をしようと心に決めました。
優しい考えの人には、良いことがありますように
僕は占いは信じませんが、良い行いや良い考え方をしていれば、いつか多少は運が向いてくると思ってはいます。考え方は人それぞれですが、新品を使うことで験(ゲン)を担ぐことよりも、優しくて良い考え方を教えてもらったという話です。
僕らレベルのアマチュアゴルファー、多少の汚れやカート道を転がった程度のキズのあるボールで飛距離やパットに出てくる影響なんて、皆無に等しいものです。いや、スコアへの影響はゼロでしょう。
ボールの見た目が美しくないからスコアが悪くなりそうだと考えるより、それだけ自分と一緒にいてくれていると考える方が美しく、気分的に良いショットになるのではないかと悔い改めた出来事でした。
そのキャディーさんに感謝です。